硫黄島

Date : 2006/12/09(Sat) 18:47
「名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録」 津本 陽


名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録クリント・イーストウッドの日米から見た硫黄島の戦いの映画2本、上映中の「父親たちの星条旗」、9日公開の渡辺謙主演「硫黄島からの手紙」。実際には映画以上に過酷な戦争であり、今なお何万の英霊が硫黄島に眠ることを考えれば、そう簡単に感動しましたなんて書けないものだが、それにしても日本から見た硫黄島の戦いをアメリカ人のクリント・イーストウッドが描ききるところに凄さを感じる。逆に、日本の映画人がアメリカ人を納得させるほどにアメリカ側からの視点で戦争映画を描けるか、と考えるとまーこれはあり得ないな、と思うのだ。しかし、この映画によってこの日本でマスコミでも「硫黄島」が盛んに取り上げられ、改めて硫黄島の戦いに目が向くってのはちょっと違うんじゃないかと思う。目が向かないよりはいいのだが、取って付けたようにこの映画に絡めてテレビのコメンテーターあるいはアナウンサーが硫黄島の戦いについて語るのは、とてもその「軽さ」に我慢ならないものがあったりする。硫黄島の英霊に思いを馳せる時、言葉が出てこない。ただ、胆力というか、そんなものをいただく機会になっていることは少なくとも自分の場合は間違いないことなのだ。

詳しい書籍などもあったりするのだが、この硫黄島の戦いがどれほどのものだったか、まずは小説という切り口から、といっても史実に基づくものであり、なかなかの読み応えで今お勧めの旬な一冊。映画を見る前に一冊読んでおくのもいいんじゃないかと思う。


旧日本軍というのは、もちろん負の部分も大いにあるが、何よりも一兵一兵に至るまでその士気の高さによって、当時あるいは最強の軍隊であったのだろうと思うわけだ。硫黄島の戦いを知れば知るほどに、ただ戦争はいけないと現実の国防や安全保障の論議を無責任なイデオロギーから無責任に反対する平和主義者を軽蔑する。誰もが戦争反対で平和でありたいと願うのは当然なことだが、今の平和はこのような戦争の上で、その結果として成り立っているモノだと、少なくともそこへ思いを馳せるべきだろう。となれば、この先も当然この平和を守るためには、戦うこともあり得るのだと覚悟することは、国民一人一人に必要なことなのだ。

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